
方鉛鉱の結晶:閃亜鉛鉱や方解石を伴う6面体と8面体の結晶(岐阜県飛騨市神岡鉱山)

風化した方鉛鉱:風化により表面に白い皮膜(硫酸鉛鉱)が付着した(岐阜県高山市笠ヶ岳鉱山)

塊状の鉱石:閃亜鉛鉱や黄銅鉱、少量の鉄礬柘榴石を伴う(岐阜県関市観音洞)
基本情報
- 分類:硫化鉱物
- 硬度:2.5
- 比重:7.6
- 組成:PbS
- 色:鉛灰色で金属光沢がある
- 劈開:三方向に完全
- 結晶系:等軸晶系
- 共生鉱物:閃亜鉛鉱/黄銅鉱/黄鉄鉱等の硫化金属鉱物
特徴
硫黄を13%ほど含む鉛の主要鉱石でずっしりと重い。結晶の形は6面体や8面体であるが、劈開に沿ってサイコロ状に割れる。割りたての方鉛鉱の表面は銀白色で美しいが、風雨に曝されると表面に硫酸鉛鉱が発生し白い膜を生じる。
産地/産状
熱水鉱脈鉱床やスカルン鉱床、黒鉱鉱床などに閃亜鉛鉱や黄銅鉱等の硫化金属鉱物を伴って産出する。結晶(6面体や8面体)の他、脈状や塊状で産出する。不純物として銀などの貴金属/希土元素を含む事が多く、銀山として採掘がなされたと言われる鉱山の主要鉱石が方鉛鉱(含銀方鉛鉱)であることも多い。
用途
工学的には蓄電池の電極材料(鉛バッテリー)や放射線(X線やガンマ線)の遮蔽剤として鉛ガラスや鉛シートとして利用される。また、はんだ材料として広く使われてきたが、鉛の毒性などからRoHS指令等を代表として規制が強まっており、鉛を使わないはんだ(鉛フリーはんだ)に置き換えられている。
中世ヨーロッパではワイングラス/容器として鉛コップを使っていた。鉛の表面で発生する酢酸鉛がワインに甘みを与えるといわれるが、そのために鉛中毒となったと言われる。