硫砒鉄鉱(Arsenopyrite)

硫化鉱物

硫砒鉄鉱の結晶:菱形の結晶が方解石中に発達している。少量の閃亜鉛鉱の結晶を伴う(岐阜県山県市相戸鉱山)

硫砒鉄鉱の塊状鉱石:石英と硫砒鉄鉱が層状になった鉱石、閃亜鉛鉱等を微量に含みいわゆる砒鉱と呼ばれる物(長野県飯田市池口鉱山)

基本情報

  • 硬度:5.5
  • 比重:6.2
  • 組成:FeAsS
  • 色:新鮮であれば白銀色、徐々に酸化を受けて真鍮色になる。
  • 劈開:一方向に完全
  • 結晶:三斜晶系
  • 共生鉱物:石英、黄鉄鉱、方解石など

特徴

菱餅のような形の結晶で、板状から長い柱状まで様々形がある。ヒ素を含むが硫砒鉄鉱そのものには毒性はない。しかし風化により表面に白いヒ素酸化物が付着することがあり、こちらは毒性があるので取扱いには注意が必要である。硫砒鉄鉱を含む鉱石を割ると独特の悪臭(ニンニク臭)がする。

産地/産状

スカルン鉱床や金属鉱床などで広く産出し、石英や方解石、黄鉄鉱等に伴って産出することが多い。

用途

ヒ素の主な原料で、硫砒鉄鉱を焼いて発生する蒸気を冷却することで亜ヒ酸を分離できる。ヒ素は強い毒性を生かして農薬や腐食防止剤等に使われる。また、ガリウム-ヒ素の半導体は赤色や赤外の発光素子/受光素子などに広く用いられる。

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